忍者ブログ
  • 2024.03
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 2024.05
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【2024/04/29 15:16 】 |
血雫
 「ま、まさか!? 黒い雷光がまだ・・・」
 
「は、黒十字の魔剣・・・、間違いございません」
 
「くそっ!死にぞこないが・・・」
 
やせ細った男は、神経質そうに頬を痙攣させながら吐き捨てた。
 
 
 
「はっはっは・・・やっかいなことになりましたなぁ」
 
帝国の将校らしき男が、可笑しそうに肩を揺らした。
 
「こ、このことは未だ公爵様には伝えるな!」
 
「はぁ・・・構いませんが、これからどうするおつもりで。伯爵?」
 
ニヤニヤしながら、将校は紅茶のカップをすすった。
 
 
 
「わ、私が直接赴く!雑兵共に任してはおられん」
 
あたふたと剣を手にしようとする男を将校は制止した。
 
「まあまあ、落ち着いて・・・。ジュドウ!」
 
「は、ジュドウはこれに」
 
将校大声を上げると、隣の部屋から隻眼の初老の武士が入ってきた。
 
 
「な、なんだぁ、こいつはぁ~」
 
「くくく・・・東方国の死兵です」
 
「し、し、し、死兵だとぉ?お前ら人間にそんな魔力がぁ~?!」
 
「西方に偽島という人工島がありましてな。そこで採れる珍しい鉱物を使うと・・・これ、このとおり」
 
将校は可笑しそうに言った。
 
 
「我々、ガルバディーン帝国は『マナ』より死人すら転生させることに成功したのですよ」
 
「な・・・なんと・・・」
 
「この力を持ってすれば、反乱軍など目ではない」
 
 
将校は不気味な笑みをたたえ、呆然とする妖魔の男へ続けた。
 
「この力を伯爵、貴方へお貸ししましょう」
 
「ほ、ほんとうか」
 
「フフフ・・・いずれ公爵様が政権を握られた暁には、我れらと良しなにお付き合い願いたいものですな」
 
 
将校はゆっくりと立ち上がると言った。
 
「そうそう、偽島に黒い雷光が潜入しているとの情報が。何かを探しているらしいですな」
 
「探しもの?王家の生き残り・・・か?」
 
「恐らく。偽島へは自分が行きましょう」
 
 
 
外套に袖を通しながら将校は言った。
 
「偽島に東方国『じぱんぐ』の姫君も潜入したとの報告が。利用するのです!」
 
「じぱんぐ・・・シルグムントの同盟国か」
 
「この死兵はその国の将校。何かと役に立つでしょう・・・ふははは」
 
「・・・」
 
「伯爵!戦争にフェアはない。どんな手を使ってでも勝てば正義なのですよ!」
 
 
将校は館の扉を開け、外へと歩き出した。
 
闇が迫る中、太陽が遠く水平線に血の雫のようにしたたって――

拍手[0回]

PR
【2010/12/08 14:04 】 | SS | トラックバック()
虎カムバック
トラックバックURL

<<前ページ | ホーム | 次ページ>>