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【2024/04/29 12:43 】 |
交刃
 遠く、国境付近に暗黒の炎遠く、シルグムントの国境付近に暗黒の炎が燃え上がる――
 
 
パドメとアルルは、神殿の上からその炎を見つめて続けた。
 
 
 ――パドメ
 
 ――はい
 
 ――聞コエタカ?
 
 ――はい
 
 
 
パドメとアルルは短い言葉を交わすと、再び沈黙し暗黒の炎を見つめ続けた。
 
 
 
  ―― パドメに・・・・兄の・・・ガーム・ベルの心の声が聞こえた
 
 
 
アルルが振り返ると、いつものように優しく微笑む金髪の少女が居た。
 
 
      ただ、その碧い瞳に泪をためて ――
 
 
----------------------------------------------------------------------
 
 
「遅かった」
 
魔法陣からの転送が完了するや、ガーム・ベル=イブリスは走りだした。
 
 
「陳謝する、もっと早くに気付くべきであったからして・・・」
 
ガーム・ベルに続くプロ・クーンの目は疲労で血走っていた。
 
 
「いえ、博士のせいではありません」
 
「あの娘を助けなくては・・・」
 
「急ぎましょう!」
 
二人は遺跡の地下深くへ続く、次の魔法陣へ駆け抜けた。
 
 
-----------------------------------------------------------------------
 
「・・・・クッ」
 
氷のような金属の冷たさにアルルは目を覚ました。
 
 
「おはよう、我が愛すべき兵器殿。ククク・・・」
 
目を琥珀色に光らせ将校が言った。
 
 
 
アルルは四肢に魔印錠が枷せられていることに気付いた。
 
「・・・サクラニ指一本デモ触レテミロ・・・皆殺シニシテヤル」
 
アルルは全身に魔闘気をみなぎらせた。
 
 
 
「姫君は大切な人質だ、殺しはしない」
 
将校はゆっくりとアルルへ近づいた。
 
 
 
「ただ、お前が殺すのは私ではなく、反乱軍の雑魚共、だ!」
 
 
将校は獣のように目を光らせ、アルルへ顔を近づけた。
 
「お前は我々が作り出した生物兵器、なんだよw」
 
 
 
       ――――!?
 
 
 
「そもそもドラゴンに変身能力なんかある訳ねぇだろw」
 
 
       ――・・・な・・・
 
 
 
「ハハハハァー!・・・お前はバイオ兵器なんだよぉーwww」
 
 
 
 
 
         ―――そ・・・    そんな    ・・・ 
 
 
 
 
 
 
 
 
           「・・・ウソダ!」
 
 
「既に、お前が生物兵器であることは流布した・・・貴様の居場所は無い・・・・クク・・・クハハー!」
 
 
 
アルルの四肢に繋げられた魔枷により魔力が吸収されてゆく。
 
 
          ――嘘だ・・・私は一体何物なんだ・・・?
 
 
 
 
 
薄れ行く意識の中、アルルの脳裏にサクラの笑顔が浮かぶ
 
 
 
         ―――サクラ
 
 
 
    もう愛する者を失いたくない!
 
 
               ――サクラ・・・パドメ・・・
 
 
           
 
 
 
 
将校を睨みつけたまま、アルルの心は真っ白になった。
 
 
 
 
 
「黒い雷光が遺跡外に出ました!」
 
 
 
「ククク、他愛も無い。ジュドウ、ゆくぞっ!」
 
「御意っ!」
 
 
 
 
 
 
 
      遺跡外の空には真っ赤に染まった月が見下ろして――
 

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