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古の神獣「蒼竜」
竜族の中でも比類なき魔力を有し
妖獣の長として妖獣界を治め
獰猛な人間をも懐柔し、共存の道を切り開いた
聡明なる種族でした。
しかし人間の欲望は尽きることなく
求め合い、奪い合い、戦いの果て
ついには竜族を戦争の道具として使い始めたのです。
「ドラゴンライダー」
そう呼ばれた飛竜達は、人間と共に戦い、傷つき、死んでゆきました。
元々長寿である竜族は、300年に一度しか子を生まないため
たちまち、その数は激減してゆきました。
蒼竜も例外ではありませんでした。
シルグムント唯一の自治国家、女神ウルディアを奉する小国
この国に最後のドラゴンライダー達が居ました。
彼らは「竜騎士」と呼ばれ、女神ウルディアの誓いの魔力の下
その地の民・動物を守っていました。
しかしその小国にも戦乱が訪れ、竜騎士達は次々と死んでゆきました。
そして小国と共に竜騎士達も滅び
その存在はシルグムントの伝説として語り継がれるのみとなったのです。
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遺跡内の探索が続く日々。
サクラ達は新しい装備を作り、新たな強敵に備えていました。
「これでよし、できた!」
「ン、何シテルノー?」
アルルはサクラの持っているものを覗き込みました。
「桜撃のブレスレットよ。やっと格闘武器を手に入れたわ」
「サクラさん格闘も嗜まれているのですね」
いつの間にかギルドメンバーのさくらが、アルルと同じように覗き込んでいました。
「コウ見エテモ、斗屡音怒(トルネード)流拳法ノ免許皆伝ダヨ」
自慢げに語るアルル。
「へぇ、斗屡音怒流って斧術だけじゃないんですね」
「そうよ。もともと斗屡音怒流って格闘術だったのよ」
「ソレヲ、サクラノ師匠ガ「シルグムント」ノ斧術ト掛ケ合ワセタンダヨ」
ふいに、サクラはさくらへ向き直りました。
「ねぇ、さくらさんってシルグムントの人でしょ?」
「え、な、何を突然言うんですか・・・」
さくらは虚を付かれ狼狽しました。
「ヤッパリナ。弓矢ニシルグムントノ国印ガアッタゾ」
「アルマちゃんもよね?もしかしたら王家の人・・・?」
さくらは観念し話し始めました。
「仰る通り、私はシルグムントの出身です。そして竜騎士の村に住んでおりました」
「ええっ、竜騎士の村?!じゃ竜騎士にも逢ったことがあるんだ」
「はい、彼らは崇高な存在でした。そして私の命の恩人でもある・・・」
さくらはゆっくりとアルルを見つめました。
「ありがとう、竜騎士アルル。貴方のお陰で村人は救われた」
「ヘ?」
アルルは目をぱちくりさせました。
「パドメさんは・・・気の毒でした。あの時の私はまだ幼かったので・・・」
「チョ、チョット待ッテクレ。何ンノ事ダカサッパリ・・・」
「アルルさん。貴方は飛竜達を治める竜騎士の長だったのです。戦争で亡くなられたと思っておりましたが・・・」
「・・・戦争・・・パドメ・・・?」
アルルは苦しげに空を見上げました。
「ア、アルルが竜騎士の長だったなんて・・・」
サクラも困惑しアルルを見つめました。
「村は妖魔の軍に滅ぼされました。でもパドメさんとアルルさんは最後まで私達を守り抜いてくださった・・・」
さくらの頬を涙が伝いました。
「・・・思イ出セナイ・・・何モ・・・」
悲しげに首を振るアルル。
「さくらさん。アルルが記憶を失ったのは戦いのせいなの?」
「恐らく・・・妖魔の呪いの力かと思います」
「・・・ドウシタライインダ・・・私ハ」
「妖魔の呪いを消去するには、妖魔の力を借りるしかありません」
「そうか、メリュちゃんだ!」
さくらの言わんとすることに気付いたサクラが言いました。
「えぇ、彼女にお願いするのが良いでしょう」
さくらは笑顔で言いました。
しかし、アルルは悲しげな目で言いました。
「・・・ナンカ・・・思イ出スノ怖イナ・・・」
サクラはアルルを優しく抱きしめました。
「大丈夫だよ、アルル。ほら、暗い顔してると暗い事しか起こらないぞっ」
アルルはまぶしそうにサクラの顔を見上げました。
「アァ、ソウダナ。前ニ教エテモラッタッケナ」
つらい過去に向き合う決心をしたアルル。
サクラは竜騎士の指輪の力で見た、覚醒したアルルの姿を思い出すのでした。
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