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【2024/04/29 11:08 】 |
悲しき戦い 前編
 暗黒の炎を眺めながら、メリュジーヌは想いにふけっていた。
 
――なぜあのようなことをなさったんですの?
――・・・わしは指示などしておらん。誰かが勝手にやったことだ
――え・・・パパではないんですの・・?
 
 
(いったい誰がこんなことを・・・人間を殺すに謀殺のような下衆な手段を使うなんて・・・)
メリュジーヌは憂鬱そうに溜息をついた。
 
 
――メリュジーヌよ。この村はお前に任せる
――私が・・・?
――この村には、魔力を持つものが居ると聞く。使い魔共だけでは心もとない
――パパはどうなさいますの・・・?
――アリアドスの小倅が軍を率いておる。それを殲滅した後、お前に合流しよう
 
 
(自分のやっていることは正しいのだろうか?)
人間の力では、決して消えることのない暗黒の炎を見つめながら、メリュジーヌは自問を続けていた。
 

 
「アルルさん、貴方は皆を守って。私の最後のお願いよ。」
パドメは神槍を持つと、暗黒の炎が燃えさかる村へ向き直った。
 
「待テ!オマエ1人デ何ガデキル!」
アルルはパドメを引きとめようとした・・・が、鎖に巻かれたように体は動かなかった。
 
「グ・・ヌウゥゥ・・・」
女神ウルディアの誓いの魔力。騎士の命には決して抗えない誓い・・・。
 
パドメは寂しそうに微笑み、ゆっくりと炎に向かって歩き始めた。
「待ッテクレ!頼ム!私モ連レテ行ッテクレー!」
 
アルルは叫びながら思った。
この少女に万が一のことがあったら・・・
 
(私も生きていない・・・生きていてもしょうがない・・・だから・・・頼むから・・・)
アルルは泣きながら叫び続けた。
 

 
砂竜の群れが押し寄せてくる。その前に異国の鎧をまとった騎馬武者が居た。
 
「ぬーん!」
武者が斧を振り回すと、砂竜達は次々に真っ二つになり倒れていった。
 
「我が君、この地にはもはや竜騎士は居りませぬ」
「そうか・・・」
スズミヤ卿は斧を降ろすと東へ目をやった。
 
「先鋒隊は、未だ戻らぬのか」
「は。知らせすらありませぬ。恐らく妖魔どもに・・・」
「うむ、ではわしが参ろう」
 
スズミヤ卿は、2・3の騎馬武者を連れ、竜騎士の村へと向かった。
 
――しかし解せぬ
 
スズミヤ卿は思った。
 
あの名誉を重んじるベルフェゴールが暗殺などするだろうか?  
結果、このような戦乱の引き金となり、もし勝利したとしても謀殺の徒として汚名は付いてまわろう。
万が一、敗戦にでもなろうものなら・・・。
 
スズミヤ卿は、暗黒の炎が燃えさかる村へと走り抜けていった。

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