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【2024/04/29 05:36 】 |
死闘 後編
「ククク、神だと・・・笑わせるぜぇ。この世に神など居ない。力のある者がねじ伏せ、そしてねじ伏せられるものが居る。それだけなんだよ」
 
将校の目が琥珀色に輝くと、服が裂け、無数の腕が現れた。
 
 
「そなたの中に巣喰うは力ではなく、ただ呑みこみ続けるだけの闇の深淵。まだ気付かぬか、人の子よ」
 
サクラは・・・いや、女神ウルディアは哀憫の眼差しで将校を見つめた。
 
 
「ギャハハハー、ではお前を倒せば俺は神だぁ!そして帝国も俺のものだぁぁ!」
 
将校は無数の手に剣を持ち、サクラへ向かった!
 
 
刃が交わりサクラの神斧が火花を散らす!
 
 
「そなたに世の生きとし生けるものの、罪と!穢れと!業と!想いを!我が身に置きかえる覚悟があるか!無償の愛を持って受け入れることができるかぁ!!」
 
サクラが叫ぶや、眩い光がサクラ達を包み込んだ。
 
 
 
―― これは?
 
ガーム・ベルは目を疑った。
 
 
光に包まれたサクラとアルルの後ろに、命を落としていった多くの仲間達の姿が浮かび上がった。
 
 
―― パドメ
 
そこにはアルルの背に乗る亡き妹の姿もあった。
 
 
―― 奇跡だ
 
ガーム・ベルの頬に涙が伝った。
 
 
 
「いいやぁ!!」
 
サクラが渾身の力を込め神斧を打ち込む!
 
とっさに将校が斬撃を魔剣で受け止めた瞬間、サクラの後ろからパドメの神槍が将校を貫いた!
 
 
「え、な、何ぃ?何だとぉぉー!?」
 
 
光り輝く神槍の聖なる力に、将校の体は真っ白な灰と化していく。
 
 
「お、お前の後ろに居る奴は誰だ?誰なんだぁあああ!」
 
叫び声をあげると、将校の身体はボロボロと崩れ落ちた。
 
 
 
パドメはゆっくりとガーム・ベルの傍に降り立った。
 
そして傷付いたガーム・ベルの身体を抱き起こすと、静かに口付けを交わした。
 
パドメの兄を想う残留思念が力となり、ガーム・ベルの傷を癒してゆく。
 
 
   さぁ、争いのない救いの地へ ――
 
 
どこからともなく静かな声が響くと、死者の魂は光り輝く渦となって空へ昇り始めた。
 
そしてパドメも空へ昇っていく。
 
 
「パドメ」
 
アルルは光の渦となったパドメを見上げた。
 
 
「アルル」
 
振り向くと、サクラが太陽のように微笑んでいた。
 
 
「サ、サクラ。ワ、私ハ、ソノ・・・」
 
「ううん、何も言わなくてもいい。アルルの心の声、ちゃんと聞こえたよ」
 
 
 
 
―― 心の声を聞くことができる神の力。これが竜騎士の真の力・・・
 
ゆっくりと身体を起こすと、ガーム・ベルは空を見上げた。
 
 
 
光の渦の中心には、純白の聖衣を身にまとった美しい女性が微笑んでいた。
 
 
―― ありがとう、ウルディア
 
ガーム・ベルは桜色の髪の少女の方へ歩を進め始めた ――

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【2011/07/30 07:39 】 | SS
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