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「!?」
突然体が軽くなるのをアルルは感じた。
「エ・・・エ・・・?」
誓いの魔力が解けた?
ということは・・・
「・・・ウソダロ・・・ウソダ・・・ウ・・・ウソダァァァーーーッ!!」
突き上げてくる絶望感にアルルは慟哭した。
同時に激しい憎悪の炎が燃え上がる。
「グウゥゥ・・・ヨクモ・・・ヨクモォーッ!!」
誓いによって抑えられていた、黒い魔力が蘇ってくるのを感じた。
「クソー、ブッ殺シテヤルーー!!」
憎悪に捉われた蒼竜は、暗黒の炎に向かって飛び立った。
「――魔界ノ盟約ニ従イ、古ノ契約ヲ履行セヨ!」
アルルは、自分の生命力と引き替えとなる暗黒の魔法を唱えた――
「げへへ・・何が竜騎士だぁ。ちょろいもんだぜぇ」
「最後にどんな奴がでてくるかと思ったら、金髪のお嬢ちゃんときたもんだぁ」
使い魔達は、下品な声で笑い合った。
メリュジーヌは、そんな彼らの声を不快に感じていた。
(竜騎士のほうが、貴方達よりよっぽど崇高ですわ)
――ガシャアアーン!!
突然、すさまじい音と共に暗黒の炎が凍りついていった。
「な、なん・・・!」
声を出す間もなく凍りついてゆく使い魔達。
そこには、姉妹の召喚獣シヴァの姿があった。
「ヒ・・ヒィィィーー!」
使い魔達は散り散りに逃げ出した。
「な、なんですの!?」
馬鹿な、この村にまだこんな魔力を持った者が居る?
「あぅ・・」
凄まじい魔力に、はじき飛ばされるメリュジーヌ。
「貴様ガ・・・パドメヲ!」
メリュジーヌの前に、アルルが立ちはだかる。
「ブ、ブルードラゴン?」
メリュジーヌは目を疑った。
「な、なぜ貴方が人間に組するんですの?」
「人間ニ組シタワケジャナイ。愛スル者ヲ守ッテイタダケダ・・・ソレヲオ前達ガ・・・」
「言っている意味が分かりませんわ!」
「貴様ニ分カッテモラオウナド思ワン!」
アルルはマジックソードを放った。
「くっ!」
メリュジーヌは、それをかわしながら叫んだ。
「私だって・・・好きで戦ってる訳じゃないんですのよ!」
・・・そう、大好きなお姉様の下に帰るには・・・戦うしか・・・
メリュジーヌは飛竜に姿を変えると、アルルへ雷撃を放つ。
2匹の竜はお互いに魔力をぶつけ合い続けた・・・。
・・・メリュジーヌの背後で人影が動いた・・・
「!?」
只ならぬ邪悪な殺気にアルルは気付く。
「危ナイ!」
「な、何ですの!?」
アルルがメリュジーヌの前に飛び出すや、マジックアローがアルルの胸を貫いた。
「グッ!!」
そのまま、峡谷へ落ちていくアルル。
(・・・チッ、しくじった)
(・・・公爵様へ報告せねば)
(・・・クソッ、あの蒼竜さえいなければ)
「はぁ・・・はぁ・・・」
喘ぎながらメリュジーヌは、自分が狙われたことに衝撃を受けていた。
(あのブルードラゴンは・・・私を助けた・・・?何故・・・?)
川に流されながら、アルルはマジックアローの呪いが自分の魔力を喰い尽していくのを感じた。
(・・・もう・・・疲れたよ・・・)
呪いは自分の記憶をも喰い尽していく・・・。
アルルは空を見上げながら涙をこぼした。
(パドメ・・・ごめん・・・ごめ・・・)
やがて、アルルの意識は真っ白な闇の中へ落ちていった。
1人の武者が妖魔に囲まれていた。
「貴様らに討たれる位なら潔く・・・」
傷ついた武者は刀を首筋に当てた・・・そのとき、疾風が駆け抜けた。
「大事ないか?」
「わ、我が君!」
スズミヤ卿は、傷ついた武者を抱え上げながら疾風の如く走り去る。
「申し訳ありませぬ・・・他の者は全て・・・」
「何も言うな。良く生きていてくれた」
「・・・・」
その言葉に、武者は涙を流した。
「我が君、もはや・・・」
「うむ、やむを得まい。撤退じゃ」
「御意!」
騎馬武者達は踵を返し港へ向かう。
「うん?」
川辺に何か光るものが見えた。
「これは・・・」
そこには、傷ついた蒼竜が横たわっていた。
「まだ生きているようですが」
「・・・こやつを連れて帰る」
「え?この竜をですか?」
「・・・見よ」
スズミヤ卿は蒼竜を指差した。
「・・・竜騎士の鞍じゃ」
「なんと・・・」
「我が盟友を見殺しにはできん」
「御意!」
――この戦で
馬蹄の音を聞きながら、スズミヤ卿は考えていた。
――この戦で利を得る者とは、いったい・・・?
やがて、騎馬武者達は海の匂いが近づいてくるのを感じ始めていた。 PR |
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