× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 |
晴天の空、高らかに響き渡る管楽奏――
「今宵、女神ウルディアの名の下、この者を正式な竜騎士となさん!」
(ふん、どんな輩が出てくるやら・・・)
幼い蒼竜は、うんざりといった様子で神官の儀式を眺めた。
神殿の奥から、竜騎士のローブをまとい神槍をたずさえた者が現れる。
長い金髪、空の様に透きとおった碧い瞳の少女。
「・・・」
蒼竜は、少女のあまりにも神々しい清らかさに言葉を失った。
「女神の使い蒼竜よ。この者の盾となり命に従うことを誓うか!」
「・・・ハッ。チ、誓ウ・・」
「かの者よ。この蒼竜と共に女神ウルディアの槍となり、この地を守ることを誓うか!」
「誓います」
万雷の拍手の中、少女に竜騎士の証である指輪が手渡された。
「竜さん、お名前は?」少女は小声で微笑んだ。
「ア、アルル・・・」
「私はパドメ。これからよろしくね」
そして、拍手と管楽奏がいつまでもシルグムントの空に響き渡った――
PR |
「女神の祝福を受けた国ですか」
スズミヤ卿は驚嘆の声を上げた。
「はい、この村はシルグムントで唯一、自治統治を許された国なのです」
アリアドス国王は答えた。
「元来、女神ウルディアの下、竜騎士達に守られた神国であったのですが、帝国の統括下で――」
「――宗教弾圧に遭っていたが、今はシルグムント唯一の神守護国になった・・・と」
「いかにも」
アリアドス国王は空を見上げた。
「この地に、間もなく災いが訪れることになるでしょう」
「ふむ・・・」
スズミヤ卿も、暗雲の空を見上げた。
「もし、我が国が闇に包まれたときは――」
アリアドス国王は、スズミヤ卿に向き直った。
「竜騎士と共に、我が国をお守り願えまいか」
スズミヤ卿はアリアドス国王の手を握った。
「我が同盟の絆は孫の代まで途切れることはありませぬ」
「スズミヤ殿・・・」
アリアドスはスズミヤ卿の手を強く握り返した。
暗雲はシルグムントの未来を暗示するように、暗く重くのしかかってきた・・・。 |
遥か東方の国、じぱんぐのある朝――
「ほぇぇーーん!」
「きゃー、可愛いお姫様のご誕生でございますぅー♪」
オオオクの女官たちはデレデレ状態のおおわらわです。
「御婆殿、我が娘はどのような運命を担っておろうの?」
「姫君は、神の御心にて統治者の星を背負っていくことになりまする」
赤ちゃんの前で、水晶を覗き込みながら術師の老婆は答えました。
「いずれ、姫君には神の使いが寄り添うことになりましょう・・・その神とは・・うん?」
「御婆殿?」
スズミヤ卿も水晶を覗き込みました。
「なんと・・異国の衣装をまとった女神・・名の知れぬ女神のご守護をお受けになっておられまする」
「女神とな・・・」
ベッドに横になった御后がスズミヤ卿に声を掛けました。
「ねぇあなた。この子の髪の色、桜の花の色のようですわ」
「うむ、そういわれてみれば」
「サクラ・・この子の名前サクラはどうでしょう」
「サクラか。良い名だ」
「うふふ、サクラ、元気に育って下さいね」
桜色の髪の赤ちゃんは、御后様の横でにっこり微笑むのでした。 |